デイリータダラフィルという選択肢:ED・排尿症状・慢性前立腺炎をまとめて考える治療法【泌尿器科専門医が解説】

デイリータダラフィルは、EDだけでなく、前立腺肥大症に伴う排尿症状にも使われる薬です。日本でも、保険診療においてタダラフィル5mgは前立腺肥大症に伴う排尿障害に対して承認されています。このコラムでは、デイリータダラフィルの効果・適応・注意点について、泌尿器科専門医の立場から解説します。

タダラフィルは、PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)阻害薬に分類される薬です。ED治療薬として知られていますが、5mgを毎日服用することで、前立腺肥大症に伴う排尿障害にも用いられます。

タダラフィルは半減期が約17.5時間と長く、毎日服用することで血中濃度が安定しやすい特徴があります。そのため、性行為のタイミングに合わせて薬を飲む必要が少なくなり、より自然な性生活につながる場合があります。

日本性機能学会・日本泌尿器科学会が編集した『男性性機能障害診療ガイドライン2025年版』(旧:ED診療ガイドライン第3版、2018年)【1】でも、タダラフィル5mgの連日投与は、EDと排尿症状を合併する患者における治療選択肢として位置づけられています。

期待できる効果

従来のED治療薬は、性行為の前に服用する「オンデマンド療法」が中心です。一方で、デイリータダラフィルは毎日少量を服用するため、「今日は薬を飲むタイミングを考えないといけない」「薬を飲んだから性行為をしないといけない気がする」といった心理的負担を減らせることがあります。

特に、緊張やプレッシャーがEDに関係している方では、治療のハードルが下がる可能性があります。

タダラフィル5mgは、前立腺肥大症に伴う排尿障害に対して保険診療で使われます。対象になりやすい症状には、以下のようなものがあります。

症状内容
頻尿トイレが近い
夜間頻尿夜中に何度もトイレに起きる
残尿感排尿後も尿が残っている感覚がある
尿勢低下尿の勢いが弱い
排尿遅延・尿線途絶出始めが遅い、または途中で途切れる

ご注意:排尿症状があれば誰でも保険で処方できるわけではありません。年齢、症状、前立腺の大きさ、尿流測定、残尿量、超音波検査などを確認し、前立腺肥大症に伴う排尿障害と診断される場合に保険診療での処方を検討します。

慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)では、会陰部の違和感、下腹部痛、排尿時の不快感、射精時痛などが続くことがあります。

タダラフィル5mgの連日投与については、CP/CPPSの症状やQOLを改善したとする臨床研究が複数発表されています。Benelliらの前向き観察研究では、NIH慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)のすべての領域で有意な改善が報告されました【2】。また、プラセボ対照二重盲検試験でも、タダラフィル群でCPSI総スコアの有意な改善が確認されています【3】

ただし、現時点では標準治療として確立しているわけではありません。当院では、症状の経過や他の治療歴を確認したうえで、補助的な選択肢として検討します。

最近、デイリータダラフィルについて「血管が若返る」「アンチエイジングになる」といった表現を見かけることがあります。

実際に一部の研究では、タダラフィルの継続投与によって上腕動脈の血流依存性血管拡張(FMD)が改善することが示されており【4】、血管内皮機能への好影響が示唆されています。

これはあくまで血管機能の代替指標に関する話であり、心筋梗塞や脳卒中を予防する、寿命を延ばす、老化を抑えるといった臨床的効果が確立しているわけではありません。

当院では、デイリータダラフィルをED・排尿症状・慢性骨盤痛症状に対する治療選択肢としてご案内しており、アンチエイジング目的のみでの使用については、慎重にご相談のうえ判断しています。

副作用と注意点

タダラフィルは比較的使いやすい薬ですが、副作用がないわけではありません。主な副作用を以下の表にまとめます。

副作用内容
頭痛血管拡張に伴って起こることがあります
ほてり・顔面紅潮顔が熱く感じることがあります
消化不良胃もたれのような症状が出ることがあります
背部痛・筋肉痛タダラフィルで比較的知られている副作用です

⚠ 禁忌・注意
硝酸薬(ニトログリセリンなど)を使用中の方はタダラフィルを使用できません(禁忌)。心疾患のある方、降圧薬を内服している方、他院で治療中の方は、診察時に必ずお伝えください。

大阪梅田紳士クリニックでの診療方針

当院では、デイリータダラフィルを単に「ED薬」として処方するのではなく、以下の点を確認します。

確認項目理由・方法
EDの程度IIEF-5などの検証済みスコアで状態を評価
排尿症状IPSS、夜間頻尿、残尿感などを問診で確認
前立腺の状態必要に応じて超音波検査(エコー)を実施
尿流・残尿量尿流測定や残尿測定で排尿障害の程度を評価
慢性前立腺炎症状会陰部痛、骨盤部違和感などを確認
生活習慣病の合併糖尿病、高血圧、脂質異常症なども確認

ED、排尿症状、慢性前立腺炎は、別々の病気に見えても、加齢・血流・自律神経・生活習慣と密接に関係していることがあります。泌尿器科で総合的に評価することで、より適切な治療選択肢を提案できます。

「EDだけ相談したい」「尿の勢いが弱い」「会陰部の違和感が続く」
——こうした症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
オンライン診療にも対応しています。

よくある質問(FAQ)

Q. デイリータダラフィルは毎日飲んでも大丈夫ですか?

医師の診察のもと、禁忌や併用薬に問題がなければ、毎日服用する治療法として用いられます。自己判断で開始せず、持病や内服薬を確認したうえで判断することが大切です。

Q. 効果が落ちてくること(耐性)はありますか?

現時点で、毎日服用すると必ず耐性がつくという明確な根拠はありません。ただし、効果が不十分な場合は、EDの原因・生活習慣病・ホルモン・心理的要因なども含めて再評価します。

Q. 前立腺肥大症なら保険で処方できますか?

前立腺肥大症に伴う排尿障害と診断される場合、保険診療で処方できることがあります。症状だけでなく、年齢、診察や検査結果をもとに判断します。

Q. EDだけの場合も保険になりますか?

EDのみを目的とした処方は、原則として自費診療(自由診療)になります。

Q. 慢性前立腺炎にも効きますか?

症状改善を示した研究は複数ありますが、標準治療として確立しているわけではありません。補助的な治療選択肢として、症状に応じて検討します。なお、保険診療では、前立腺炎に対する適応はないため、自費診療での処方となります。

Q. 他のED治療薬(オンデマンド薬)との併用はできますか?

薬剤の種類や用量によっては併用が難しい場合があります。安全に使用するためには、現在お使いの薬を診察時にお伝えいただく必要があります。

Q. 服用をやめるとどうなりますか?

服薬を中止すると、ED症状や排尿症状が服用前の状態に戻る可能性があります。中止を検討する場合も、まずは医師にご相談ください。

まとめ

デイリータダラフィルは、ED治療だけでなく、前立腺肥大症に伴う排尿症状にも関わる治療選択肢です。特に以下のような方では、EDだけを切り離して考えるのではなく、泌尿器科で総合的に評価することが重要です。

  • EDがある
  • 尿の勢いが弱い、出始めに時間がかかる
  • 夜間頻尿・残尿感がある
  • 会陰部や骨盤部の違和感が続く

大阪・梅田でED、排尿症状、慢性前立腺炎の症状にお悩みの方は、大阪梅田紳士クリニックへご相談ください。
泌尿器科専門医が、症状・検査結果・生活習慣を総合的に評価し、最適な治療プランをご提案します。

参考文献

1. 日本性機能学会/日本泌尿器科学会 編.男性性機能障害診療ガイドライン2025年版.メディカルレビュー社;2025.(旧:ED診療ガイドライン第3版,2018年)

2. Benelli A, Mariani S, Varca V, Gregori A, Barrese F, Cappa M. Once-daily 5 mg tadalafil oral treatment for patients with chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome. Ther Adv Urol. 2018;10(12):339-345. doi: 10.1177/1756287218808677

3. Abdelhakim AM, Tharwat M, Abdelhakim M, Abdelkhalek M, Elghamry A, Elshazly AO. Tadalafil monotherapy in management of chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome: a randomized double-blind placebo controlled clinical trial. World J Urol. 2022;40(10):2505-2511. doi: 10.1007/s00345-022-04074-4

4. Rosano GM, Aversa A, Vitale C, Fabbri A, Fini M, Spera G. Chronic treatment with tadalafil improves endothelial function in men with increased cardiovascular risk. Eur Urol. 2005;47(2):214-220. doi: 10.1016/j.eururo.2004.12.001