大きないびきをかきやすくなる「睡眠時無呼吸症候群」は、太った人がなる病気だと思っていませんか?
この記事では、自分は太っていないからから安心!という誤解を解くために 【睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴】についてわかりやすく解説しています。
記事の前半では、大きくわけて2つの無呼吸を起こす原因があることを紹介し、後半で睡眠 時無呼吸症候群になりやすい人の特徴を肥満以外にも挙げています。
肥満ではないからといって安心するのではなく、まずはセルフチェックをするきっかけになれば嬉しいです。
寝ている間に何度も呼吸が止まってしまう病気です。Sleep Apnea Syndrome の頭文字をとって SAS とかサスとも言われたりします。
医学的な定義を見ると以下のようになっています。
10 秒以上呼吸が止まったり(無呼吸)、弱くなったり(低呼吸)を 1 時間あたりに5回以上 繰り返される状態のこと
呼吸が止まっている間は、酸素を取り込むことができないので身体は低酸素状態になってしまいます。それが毎晩、何ヶ月、何年と続いていった結果、次々に身体に悪影響を与えてしまいます。
では、その原因はどのようなところにあるのでしょうか?
酸素の通り道である気道が狭くなることで起きる無呼吸状態を「閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA:Obstructive sleep apnea)」といいます。
もっともわかりやすい原因は「肥満」です。 太っている人は顔やお腹周りだけでなく、のどにも脂肪がたまり、外側から気道を押し込 む形になるため、明らかなリスクの一つだと言えます。
また、日本人は仰向けで寝る人が多いので、さらに重力が加わって気道が狭くなりやすく、 欧米に比べると肥満度の割に SAS の患者の数が多いです。
ただし、痩せている人でも ・あごの形が小さい ・舌・扁桃腺が大きい なども物理的に気道が狭くなる原因なので、必ずしも太っている人だけに起こる現象で ないことに注意が必要です。
もう一つは脳からの命令を出したり、それを伝えたりする部分の異常で起きる「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA:Central sleep apnea)」です。
こちらは気道が狭くなるわけではなく、脳の中枢神経系の異常が原因になって起こる無呼吸のことをいい、上で解説した OSA よりも起こる頻度は低いです。
例えば、人間は意識しなくても息を吸ったり吐いたりすることができます。 もちろん、わたしたちが寝ている間も身体はせっせと指令をおくり、24 時間休まずに呼 吸をコントロールしてくれているのです。
そのシステムに異常があったときに、不意に呼吸が止まる部分が起きてしまうわけです。
のどや首に脂肪がつきやすいことは明らかな SAS の発症リスクになります。
実際に、60%以上の SAS 患者は肥満であり、特に最近太った人や学生時代と比べて10kg 以上太った人は特に注意する必要があります。
肥満ではなくても、以下のような骨格の特徴を持っている人は、気道が閉塞しやすく、SASになるリスクが高いといえます。
SASを起こしやすい顔の特徴
- あごが小さい
- 小顔
- 二重顎
- 舌が大きい
- 扁桃腺肥大
ちなみに、日本人の顔の特徴は気道が狭くなりやすく、日本人は潜在的にSAS になりやすいといえます。
過度のアルコールが睡眠に悪い影響を与えるのは明らかですが、気道を閉塞させる原因に もなります。
気道を広げようとする筋肉の動きがアルコールによって鈍くなってしまうため、寝ている間に無呼吸が起こりやすい状況ができあがってしまいます。
また、無呼吸が起こると血液中の酸素が薄くなるため、それをきっかけに危険を感じて身体を起こそうとする動きがあるのですが、アルコールはそのはたらきをも鈍らせてしまいます。
つまり、アルコールなしの場合に比べると無呼吸の時間が長くなりやすい傾向もあります。
実際に、男性における研究で「1日に1杯飲酒量が増えると、SAS の発症リスクが 25%増加する」という研究結果もあります。
タバコと SASの因果関係は正確にわかっていないものの「喫煙者は SAS のリスクが高い」ということが古くからいわれています。
この原因として、タバコの煙により鼻やのどの粘膜に慢性的な炎症がおき、気道がむくんでしまうために通りにくくなってしまう、と考えられています。
性別で見ると、男性の方が SAS のリスクは高いです。その発症率は男性の方が2~3倍高く、その原因として体型の違いがあります。
男性は上半身に脂肪がつきやすい一方で、女性は下半身につきやすいので発症率は下がります。
SASになりやすい人の特徴まとめ
- 肥満
- 気道が狭くなる顔や首の形
- タバコを吸う
- 飲酒をする
- 男性
ご覧いただいた通り、睡眠時無呼吸症候群は、肥満だけではなく様々な原因によっておこる病です。
「自分は太っていないから」 と安心するのではなく、症状がある場合は、まずは下記の記事より簡易セルフチェックを試してみましょう。
その「いびき」、睡眠時無呼吸症候群かも?簡易チェックリストで要確認ご自身の体型に関わらず、いびきや眠気などの症状がある場合にはまずはご自宅で出来る簡易検査を受けることをおすすめします。
従来の睡眠時無呼吸症候群の診断は、病院やクリニックでのポリソムノグラフィー検査(PSG)を用いるのが一般的でしたが、最近では自宅で簡便に行える簡易睡眠検査装置も登場しています。これにより、患者さんはクリニックに出向かなくても、自宅でリラックスした環境で検査ができるようになりました。特に最新の検査機器は、小型化されており、睡眠の質や無呼吸の頻度をより正確に把握することが可能です。
今回はEDとの関連性も報告されている睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴についてご紹介しました。
当院では、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を保険適用で対応可能です。睡眠時無呼吸症候群の診療は、平日であればご予約不要で受付しておりますので、 診療終了30分前までにご来院ください 。土日もご予約は不要ですが、事前にお電話で対応の可否をお問い合わせください。
専用の検査装置をレンタルして、ご自宅で気兼ねなく検査できますので、いびきにお悩みの方は是非一度ご相談ください。