ぺロニー病(陰茎硬化症)でペニスが弯曲?
陰茎を変形させる病気の診断と治療

ぺロニー病(陰茎硬化症)は陰茎が弯曲・変形する病気。診断・治療法について解説します。

ぺロニー病(陰茎硬化症)は、男性の陰茎に影響を与える疾患の一つで、その症状や原因は複雑で理解が難しいものです。本コラムでは、ぺロニー病についての基本的な情報から、症状、診断、治療に至るまで詳しく取り上げます。

ぺロニー病は陰茎(ペニス)に様々な症状を引き起こします

ペロニー病とは、1743年に最初にフランスのFrancois Gigot la Peyronieによって報告された病気で、陰茎硬化症や形成性陰茎硬化症と呼ばれることもあります。

陰茎の海綿体白膜に、何らかの理由で瘢痕組織(はんこんそしき)と呼ばれる良性のしこりができる病気です。

瘢痕組織とは、身体の組織に傷ができたり炎症が起きたりした後で、治るのに時間がかかった場合などにできる、線維化して硬くなった組織です。

陰茎の片側で瘢痕組織が増殖すると、そちら側だけ硬く縮んでしまい、勃起時に弯曲が生じます(弓なりに曲がった状態)。

欧米での発生頻度は、1~8%程度との報告があり、中年から高齢の男性によく見られますが、若い年齢層でも発症することがあります。

ペロニー病の症状

ペロニー病による症状や弊害は主に以下のようなものがあります。

  • 陰茎の弯曲・変形
  • 患部および勃起時の陰茎の疼痛・硬直感
  • 性行為(挿入)が困難になる
  • ED(勃起不全)の発症の可能性

ぺロニー病の主な症状は、勃起時に現れる陰茎の弯曲や変形です。

瘢痕組織と呼ばれるしこりのような線維性のかたまり(プラーク)が陰茎にできると、その部分は硬くなり縮んでいきます。

陰茎の片側の組織がそのような状態になると、そちら側に引っ張られて弯曲してしまいます。陰茎の一部が細くくびれて砂時計のように変形してしまう場合もあります。

また、勃起にとって重要な組織である陰茎海綿体の内部に瘢痕組織が広がってしまうとED(勃起不全)を発症する場合もあります。

EDを発症しなくても、弯曲や変形の程度がひどくなると、性行為そのものが難しくなります

さらに、しこりの部分や勃起時の陰茎に疼痛や硬直感などの症状を来たす場合もあるため、精神的な苦痛に繋がってしまうことも少なくありません。

ペロニー病の原因

ぺロニー病の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与している可能性があります。

  • 陰茎内部の炎症
  • 陰茎の外傷
  • 遺伝的要因
  • 手術・生活習慣病・性感染症(性病)

陰茎内部の炎症

陰茎の内部の組織、特に陰茎海綿体白膜と呼ばれる部分に、炎症が発生する場合があります。炎症の原因は正確にはわかっていません。

炎症が発生した部位が治癒する際、瘢痕組織と呼ばれる硬く線維化した組織に変化することがあります。

この組織が異常に成長してしまった場合は、陰茎の弯曲を引き起こすことがあります。

陰茎の外傷

陰茎に切り傷や火傷のような外傷ができて、その外傷の治癒に時間がかかった場合などにも、傷跡周辺の組織が瘢痕組織になってしまうことがあります。

このような外傷が、ペロニー病発症につながることもあると言われています。

遺伝的要因

多くは、後天的なものですが、まれに先天的なものもあり、遺伝的な要因も関与している可能性があります。

手術・生活習慣病・性感染症(性病)

生殖器や前立腺の手術を受けた後や、難治性の性感染症や尿道炎・前立腺炎を発症した後に瘢痕組織が発生した例が報告されています。

また、糖尿病・高血圧症・高脂血症などの生活習慣病、男性ホルモンの低下(男性更年期障害)、喫煙などの習慣などがペロニー病発症リスクを高めると指摘されています。

ペロニー病の診断方法

ぺロニー病の診断は、症状や経過や既往歴の問診に加えて、陰茎の勃起時の弯曲または変形の度合いにより判断します。

主な方法としては、患者さんが自宅で完全勃起時の陰茎を2方向以上の角度から撮影し、その写真を医師が見て確認します。

必要に応じて、陰茎海綿体に血管拡張作用のある薬剤(プロスタグランジン)を注射し、人為的に勃起を誘発させた上で陰茎の弯曲・変形の程度を実際に確認したり、超音波検査、MRIなどが行われることがあります。

ペロニー病の治療方法

現在、ぺロニー病の治療法のいくつかは弯曲や痛みなどの改善が報告されていますが、実績やエビデンスが確立されている治療方法が非常に少ないのが現状です。一般的には以下のような治療が行われています。

  1. 薬物療法
  2. 体外衝撃波治療
  3. 手術

上記のうち、手術以外の薬物療法や体外衝撃波治療は、ペロニー病の発症直後から、約6ヶ月~1年間の症状が進行している時期に行われることが多いです。自然治癒する可能性が低く、症状が進行(悪化)していくことが多い病気のため、進行を遅らせ陰茎の弯曲・変形や痛みを可能な限り抑えることが主目的となります。

それでは、ペロニー病の治療にはどのような方法が存在するのか、詳しく見ていきましょう。

1. 薬物療法

  • ビタミンE:抗酸化作用があり、瘢痕組織の形成を抑制する可能性があるため、ビタミンE製剤やサプリメントが一部の患者に勧められることがあります。
  • トラニラスト:ケロイドや肥厚性瘢痕の治療薬です。炎症を抑制し、瘢痕組織の形成を防ぐ効果があるとされ、ペロニー病の進行を遅らせる可能性が示唆されています。
  • ベラパミル局所注射療法:ベラパミルは通常、高血圧や心臓病の治療に使用されるカルシウム拮抗薬です。ペロニー病の治療としては、局所的に陰茎にベラパミルを注射し、瘢痕組織の軟らかさを増し、弯曲が改善したという例が一部で報告されています。
  • ステロイド局所注射療法:痛みが強いときに使用する場合があります。
  • コラーゲナーゼ注射療法: 最近、無作為ランダム化比較試験(RCT)でコラゲナーゼがプラセボと比較して、有意な屈曲と痛み等の改善を示したという報告がされたことから、米国では2013年に、繊維成分を溶かすコラゲナーゼがペロニー病に対する注射治療としてFDA(食品医薬品局)から認可されました。日本国内ではペロニー病と似た症状が手足に起きるデュプイトラン拘縮という病気に対して保険適用がありますが、ペロニー病への使用は2024年1月現在、承認されていません。
  • ED治療薬(PDE5阻害薬): バイアグラ®(シルデナフィル)・バルデナフィル・シアリス®(タダラフィル)などのフォスフジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬は、血管を拡張して血流を改善する効果があります。これにより、陰茎の硬直感を向上させ、一部の患者にはぺロニー病の症状に対する軽減効果が期待されます。

2. 体外衝撃波治療

体外衝撃波治療(ESWT:Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、衝撃波を体の外側から、しこりが出来ている患部の周辺に照射することで、組織の修復を促進させるとともに、血流を増加させ、炎症を減少させる治療法です。

ペロニー病に対する衝撃波治療については、2016年にL Gao氏らによって報告された、443人の患者に対する6つの研究のメタアナリシス(複数研究を統合して分析した結果)によると、陰茎プラーク(患部にできるかたまり)の軽減、痛み(疼痛)の緩和や消失において有意な改善が見られ、衝撃波治療の効果や安全性について一定以上の可能性が示されています。

当院でも体外衝撃波治療を行っております。詳しくはこちら

3. 手術

ペロニー病は、一度発症するとしばらくの間症状が進行していきます。しこりの大きさ・痛み・弯曲の症状の進行が落ち着き、症状が安定するまでは、手術以外の保存療法を優先して試みます

一般的に、発症してから症状が安定(固定化)するのに6ヶ月~1年程度かかります。自然治癒することはほとんどないと言われていて、症状固定化後に陰茎の弯曲がひどい場合には、手術療法を検討します。

手術法には、縫縮法(プリケーション法)移植法(真皮や静脈移植)があります。

縫縮法は、弯曲の改善のみを目的とした方法で、しこりのある側の反対側を縫い縮める方法で移植法に比べ簡単ですが、しこりや痛みの改善はできないこと、陰茎が短くなることなどの欠点があります。

移植法は、しこりを切除または切開し、その部分に健康な組織を移植することで、短くなった側を延長する方法です。切除の度合によっては勃起機能が損傷しEDを発症するおそれがあります。

ペロニー病の体外衝撃波治療について

衝撃波治療の装置

低強度体外衝撃波療法(low-intensity extracorporeal shock wave therapy : LI-ESWT)は、非侵襲的(身体の組織を切ったり焼いたり刺したりしない)治療法です。

この治療法は、低エネルギーの衝撃波を体の外側から、痛みや炎症が起きている病変部位に向かって照射することで、症状の緩和や組織の修復を促すことを目的としています。

この治療で使用される衝撃波の仕組みは、腎臓結石や尿管結石を破砕するために使われているものと同じです。結石を破壊するために使用される衝撃波の10分の1程度に強度を抑えることで、別の用途に使用できるようにしています。

衝撃波を治療に用いる理由

衝撃波治療には以下のような作用機序が報告されています。

  • 炎症の抑制:衝撃波治療は、炎症反応を引き起こすMMPやILといったサイトカインと呼ばれる物質抑制する働きがあると言われています(※1)。幹部の炎症を軽減することでペロニー病の症状の抑制が期待できます。
  • 血流促進:衝撃波治療により、患部周辺の血管の内皮細胞から血管を広げる作用のある一酸化窒素合成酵素(eNOs)が発生しやすくなり(※2)、血流を増加させる効果があります。さらに、新しい血管の形成の準備のため必要なVEGF(血管内皮細胞増殖因子)の放出を促し(※3)、血管の再生および新生を引き起こします。良好な血流は酸素や栄養素の供給を改善し、組織の修復や再生を促進します。
  • 痛みの鎮静効果:衝撃波治療により、余分な痛みを誘発する自由神経終末の破壊(※4)し、さらに痛みに関わる神経内の伝達物質(CGRP、Substance-P)を抑制する(※5)ことで、神経の鎮静化が期待できます。これにより、神経の過敏性が緩和され、痛みや不快感が減少する可能性があります。
  • しこり(陰茎プラーク)の軽減:ペロニー病は怪我や炎症の痕がしこりに変化してしまうことで発症しますが、衝撃波治療により、しこりが軽減される可能性があることが報告されています。(※6)

治療の特徴

  • 皮膚を刺したり切ったりする必要がなく、麻酔や剃毛などもせずに済みます。
  • 施術は通常、週1~2回、一ヶ月に合計4回程度の頻度で実施します。
  • 施術1回あたりの所要時間は15~30分で終了します。
  • 入院の必要がなく毎月およそ4回の通院で治療可能
  • 症状の改善後は、治療を受けていなくても数週間から数か月にわたって改善状態が維持されることが多いです。

この治療の効果には個人差があり、病状や体質生活習慣によっても異なります。

この治療は現在のところ保険適用とはならず自費診療となります。

副作用と禁忌

重篤な副作用の報告はありませんが、以下のような軽度の副作用があります。

  • 抗凝固剤を服用されているなど出血傾向がある場合、まれに皮下出血などが起こる場合があります。
  • 衝撃波が骨に当たると、痛みを感じることがあります。
  • また、施術中・施術後、照射部に一時的な軽微な痛みを感じる場合もあります。
  • いずれも数時間~数日で軽快するものがほとんどです。

以下のような場合は施術を受けることができません。

  • 重篤な血液疾患を有する患者
  • 治療前6ヶ月以内に、心筋梗塞・不整脈を発症している患者
  • 悪性腫瘍を有する患者
  • 成長期の子ども
  • 照射部位に化膿性疾患を有する患者

衝撃波治療の料金(税込)

衝撃波治療は保険適用外の治療です。

施術1回(通常価格)33,000
4回プラン110,000円(27,500円/回)
5回目以降・追加施術1回(※)18,000
5回目以降・追加4回プラン(※)66,000円(16,500円/回)

※合計4回以上施術を受けた方のみお選びいただけるメンテナンス価格です。

※1 Han SH et al: Effect of extracorporeal shock wave therapy on cultured tenocytes. Foot Ankle Int. 30(2): 93-8, 2009.

※2 Wang CJ.: Extracorporeal shockwave therapy in musculoskeletal disorders. J Orthop Surg Res. 20; 7:11, 2012.

※3 Wang CJ: Shock wave therapy induces neovascularization at the tendon-bone junction. A study in rabbits. J Orthop Res. 21(6): 984-9, 2003.

※4 Ohtori S, Inoue G, Mannoji C, et al. Shock wave application to rat skin induces degeneration and reinnervation of sensory nerve fibres. Neurosci Lett 2001;315:57-60.

※5 Takahashi N, Wada Y, Ohtori S, Saisu T, Moriya H.Application of shock wave to rat skin decreases calcitonin gene-related peptide immunoreactivity in dorsal root ganglion neurons. Auton Neurosci 2003;107:81e94.

※6 Gao L, Qian S, Tang Z, Li J, Yuan J. A meta-analysis of extracorporeal shock wave therapy for Peyronie’s disease. International Journal of Impotence Research 2016 Sep;28(5):161-6. doi: 10.1038 / 2016.24. Epub 2016 Jun 2.

ペロニー病のお悩みは紳士クリニックにご相談ください。

ぺロニー病は性器の外見を変えてしまい、場合によっては痛みや勃起不全、性行為の困難など、心身の苦痛をもたらす複雑な疾患であり、専門医の診断と治療が必要です。

当院でも、泌尿器科専門医・性機能専門医である院長の平山によるペロニー病の診察を行っております(完全予約制)。

当院では保存治療として、トラニラストやビタミンE、ED治療薬などの内服治療とともに、体外衝撃波治療を行なっています。発症からおよそ6ヶ月以内の初期の段階から治療を開始することで、手術が必要な状態になる前に進行を遅らせることを重要視しています。

また、弯曲などの症状がひどく、手術が必要と思われる症例においては、大学病院などの他施設に紹介させて頂いています。

当院におけるペロニー病の診療は、専門医相談料として初診料5000円・再診料3000円いただいております(税込)。

ペロニー病の診察の受診方法

ペロニー病の診断を希望される場合は、ご自宅で完全に勃起した陰茎の写真を縦方向・横方向の少なくとも2方向以上の角度から撮影し、来院時にお持ちください。

ペロニー病の診察は完全予約制です。お電話いただくか、次にご案内する予約専用ページからご予約ください。

電話: 06-6373-0404

下記の予約専用ページからのご予約であれば、お電話の必要がなく診療時間外でも予約手続きが可能です。ページ冒頭のメニュー一覧から「担当医による診察」を選択後、注意書き下部のカレンダーから日時をお選びください。

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ペロニー病の衝撃波治療を検討されている方で抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)を服用されている方は、事前にお伝えください。これらのお薬を服用している方が衝撃波治療を受ける場合、施術の数日前から一時的に休薬が必要となる場合があります。当院が紹介状を発行し、休薬が可能か主治医とご相談いただくこともございます。