こんなことでお悩みではないですか?
- 男性の不妊症について関心があるが、よくわからない
- 妊活にむけて男性に何ができるのか知りたい
そんな悩みを解決できる記事を用意しました。
妊活は女性だけでなく、夫婦二人で取り組む必要があります。
その理由は、妊娠できない原因の半分は男性側にあるからです。
この記事では「妊活にむけて男性がすべきこと」をわかりやすくまとめました。
前半では、男性側が原因で不妊となる男性不妊について、後半では男性の妊活に向けてすべきことや避けるべき習慣について紹介しています。
この記事を読むことで、男性不妊のリスクについて理解し、妊活に挑むときにも迷うことなく行動できるように備えましょう。
WHO(世界保健機関)が不妊症の原因について調べたところ、不妊の原因の半分は男性側にあるということがわかりました。
その調査結果は20年以上も前のデータですが、非常に有名で今も広く引用されています。
- 夫婦が妊娠を希望している
- 1~2年の通常の性生活がある
こういった条件にも関わらず、妊娠が成立しない状態の中で、男性側に原因があるものを「男性不妊」と定義しています。
男性側の不妊では、以下のいずれかにトラブルがあることがほとんどです。
- 精子(精液)
- 精子の通り道
- 勃起・射精
この中で、「精子(精液)」に関する原因により男性不妊となっていたものが全体の80%以上(※)を占めていました。
※引用:湯村 寧: 平成27年度厚生労働省子ども・子育て支援推進調査 我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究. 2016
精巣や精巣上体など、精子が成熟する過程に問題があると、精子の数が減ったり運動率が低下して受精する力が低下します。
これらは精子をつくる過程に原因があるので「造精機能障害」と呼ばれます。
さまざまな原因がありますが、漢方薬やビタミン剤などによって治療をすることもあります。
精子を外から見てもわからないことがほとんどなので、精液検査をすることが大切です。
精子は正常に作られているものの、精子の通り道のどこかが塞がっているため、精液中に十分な量の精子が届かないパターンです。
これは「精路通過障害」と呼ばれます。
この場合は、行き止まりになっている精子の通り道を繋ぎ直して開通させたり、精巣の中にある精子を回収して顕微鏡で授精することにより、妊娠の可能性が出てきます。
性交渉の中でも特に勃起に問題があるケースで、
- 勃起ができない(ED:勃起障害)
- 勃起はできるが射精ができない(射精障害)
- その両方
というパターンがあります。
EDの原因には、動脈硬化や糖尿病から来る神経性・血管性のものもありますが、多くの場合は心因性、つまりプレッシャーによるものです。
射精障害のきっかけも同様に糖尿病によるもの、薬剤性のものなど原因は広くあります。
妊活についての理解
まずは、男性とはいえ、妊娠に関する知識を勉強することが大切です。
妊活をはじめてすぐに妊娠に至るカップルもいれば、長い期間がかかる場合もあります。
お互いが支えながら妊活に取り組むためにも
- 女性の身体では、普段どんな変化が起きるのか
- どういった過程で妊娠が成立するのか
- 出産までにどのように母親の身体が変化していくか
こういったことについて知ることは妊娠が成立した後も必ず役に立ちますし、お互いをサポートし合うためにも必要です。
今はインターネットで妊娠に関する情報が簡単に集められるので、事前に基礎的な知識を調べておくと良いでしょう。
精液検査
男性不妊の原因の一つが精子によるものです。
上でも述べましたが、
これらは外から見ただけでは分かりません。精液検査では主に以下のような項目を評価しています。
- 精液量 :1回の射精における精液の量。非常に少ない場合は射精機能の以上が疑われます。
- 精子濃度 :精液1mlに精子が何個含まれるか。精子が少なければ卵子へ到達できる精子の数も少なくなります。
- 総精子数 :精子濃度が高くなくとも精液量が多ければ精子数は多くなります。
- 精子運動率 :運動している精子の割合。運動していない精子は卵子まで到達できません。
- 前進運動率 :上記のうち高速で直進している精子の割合。卵子までの到達・受精に関わります。
- 正常形態率・生存率 :顕微鏡では人間の主観での評価になってしまうため、運動率などから装置が推測した数値を記載する検査方式が多いです。
また、上記に加えて、昨今の晩婚化や精子の質の低下に伴い、下記のような検査も重要になってきています。
- 精子DFI(DNA断片化指数)検査 :精子内のDNAの損傷度合いの検査。生活習慣や環境により体内で発生する酸化ストレスなどで精子のDNAが損傷を受けると受精率や着床率が低下するおそれがあります。
- 精液ORP(酸化還元電位)測定 :精液内の酸化ストレスの度合いを測定する検査。酸化ストレス度が高いほど、精子のDNAや細胞膜が損傷を受けやすくなり、状態が悪化します。
なお、各検査項目にはWHOの基準値や、各検査方式独自の基準値なども設定されていますが、基準をクリアしているからと言って必ず妊娠できるということではなく、逆にクリアできていないから即自然妊娠は不可能ということでもありません。
精液検査はどこで受ければいい?
「いきなり産婦人科や泌尿器科で検査をするのに抵抗がある」という方には、簡易キットやアプリを使う方法は手軽に思えるかもしれませんが、正しい精液検査を行う上で「精子の鮮度」や「精子の解析に使用する設備」が大切です。
より正確に詳しい検査結果を得るためには専門の病院・クリニックで検査を受けるのが良いでしょう。
大阪梅田紳士クリニックでは、精液検査を予約不要で受けることができます。精子濃度・精子数や運動率・前進運動率を調べる一般精液検査はもちろん、精子DFI検査・精液中ORP測定も対応しています。
パートナーとの話し合い
妊活を進めていく上で「どんな方針で妊活にのぞむのか」をパートナー間で共有しておくことは重要です。
どちらかだけが努力しても上手くいくものでもありませんし、お互いに相手の気持ちや心身の状態を気遣うことができないと上手くいきません。
一番目の項目として述べましたが、妊娠・妊活について勉強し、その上で夫婦間の考え方の違いを埋めておくことで、協力していくことができます。
どんな形でも良いので、時間をとって話をする機会を設けましょう。
今回の記事の前半で、男性不妊の原因となる3つの要素を挙げました。
その中でも精子の状態は生活習慣や体調によって影響を受けやすいため、日々の生活を見直すことで改善が見込める場合があります。
ここでは精子へ悪い影響を与える5つの習慣を紹介します。
実は精子は熱に弱く、サウナや長風呂は精子の精子の数が減ったり、運動率が低下する原因になります。
同様の理由で、膝の上にノートパソコンをのせて作業をする習慣がある人は今後は避けるようにしましょう。
知らず知らずのうちに精子や精子を作る過程に負担となっている場合があります。
精子を温める習慣
- サウナ
- 電気毛布
- 熱いお風呂
- 膝上のノートPC
下半身を圧迫しすぎると、下腹部の血行が悪くなるため、精巣の機能が十分に働かなくなる恐れがあります。
具体的には、密着性の高い下着による締め付けや長時間のバイク・自転車通勤などがあります。
対策としてはボクサーブリーフからトランクスなどへの見直しなどがあります。
下半身を圧迫する習慣
- タイトな下着
- 長時間の自転車通勤
適度な運動には妊活に限らず、たくさんの良い影響があります。
運動は男性ホルモンの生成と関係すると言われています。
ただし、過度な運動は精子の損傷率が高まる可能性もあり、逆効果です。
タバコはあらゆる病気のリスクになりますが、不妊も例外ではありません。
タバコに含まれるニコチンは血管の老化を早め、一酸化炭素は血液が酸素を運ぶのを妨げます。
他にもたくさんの発がん性物質が含まれていて、 これらは、卵子や精子の質に悪い影響を与えます。
喫煙している夫婦では、不妊症の割合が高く、流産などのリスクも高めるため、避けましょう。
適度な量であれば問題ありませんが、お酒やコーヒーの飲み過ぎは不妊のリスクになります。
女性に関する研究ではありますが「カフェインの摂取量が多い女性は妊娠までにかかる期間が長い」という論文(※)があります。
男性に関しても、カフェインやアルコール摂取量と不妊のリスクについての研究が行われていますが、結果には一貫性がありません。
とはいえ、過度な摂取は控え、コーヒーであれば1日2~3杯程度にしておくのが良いでしょう。
※引用:Caffeine Intake and Delayed Conception: A European Multicenter Study on Infertility and Subfecundity (カフェイン摂取による妊娠の遅れ:ヨーロッパ不妊施設による他施設研究)
睡眠不足や生活リズムの乱れも、精子の健康に悪影響を与える習慣の一つです。
最近の研究では、睡眠時無呼吸症候群(寝ている間に呼吸が止まる状態)や慢性的な不眠症を持つ男性では、精子の数や動きが悪くなり、精子の形が正常でない割合が増えることがわかっています。また、夜勤やシフトワークなどで生活リズムが崩れると、体内のホルモンバランスが乱れ、精子の質が低下することも報告されています。
質の良い睡眠をとり、生活リズムを整えることは、精子の健康を守るためにとても大切です。規則正しい睡眠とリズムを保つことが、精子の質を向上させるカギになります。
※参考文献:Zhong, Ou, et al. “Effects of Sleep Disorders and Circadian Rhythm Changes on Male Reproductive Health: A Systematic Review and Meta-analysis.” Frontiers in Physiology, vol. 13, 2022,
この記事では、主に下記について解説しました。
- 男性不妊の原因3選
- 妊活に向けて男性がすべきこと
- 精子の質を下げる習慣
不妊の原因の半分は男性によるものであり、男性側の取り組みによっては妊娠成立までの期間が大幅に短縮できる可能性もあります。
- 妊活について本やインターネットで学ぶ
- 今すぐ精子に悪い習慣をやめる
- 精液検査を受ける
などのように今日からすぐに始められることもあります。
性生活や生活習慣に特に問題がなく、それでもなかなか妊娠ができない場合は不妊の可能性が考えられます。
その場合は精液検査を含めた検査を受けてみるのはいかがでしょうか。
当院では、精液検査をはじめとした様々な検査に対応することが可能です。
男性不妊の検査では、一般的な精子濃度や運動率などの卵子に到達する能力の検査に加え、精子DFI(DNA断片化指数)検査 や精液ORP(酸化還元電位)測定 測定により、受精率や妊娠率に深い関連性のある精子の質(DNAの断片化率)や、精子がダメージを受けやすい環境に晒されていないかを検査することができます。また、血液検査によりホルモンの異常や、ミネラルの不足、脂質異常などをお調べすることができます。
上記の検査で医師が不妊症と診断した場合も、当院で対応可能です。当クリニックではタイミング法やホルモン補充療法などの一般不妊治療の保険診療に対応しており、超音波検査による精索静脈瘤の診断も可能です。
人工授精や体外受精などの治療についても、提携医療機関などと連携して取り組んでいます。