男性不妊治療について
不妊症は女性だけが抱える問題ではなく、それどころか男性側のみが原因で不妊となることも少なくありません。
このような「男性不妊」を早期発見するため、当院では精液検査・血液検査から超音波検査まで様々な検査をご用意しています。
万一異常が見つかった場合も、自然妊娠のためのサポートや専門医療機関の紹介など様々な治療・支援を行います。
こんなことで
お悩みではないですか?
- 妊活中だが
思うような
成果が出ない - 男性でも気軽に
不妊検査を受けたい - 自分の精子に
問題がないか、
予め知っておきたい
男性不妊の主な原因
- 精子の数が少ない
「乏精子症」 - 精子の動きが悪い
「精子無力症」 - 精液に精子がいない
「無精子症」 - 勃起不全
原因を見つけ、治療に繋ぐ
WHOの基準では、精液1ml中の精子数が1600万個以下の場合乏精子症と呼ばれます。精子の運動率が高くても、精子が卵子まで到達できる確率が低くなってしまいます。精子の数は精液検査で知ることができます。乏精子症の原因をさらに細かく見ていくと、「精巣静脈瘤」や「造精機能障害」などがあります。
精索静脈瘤は、精巣から血液を送り出す静脈がこぶのようなもので塞がってしまい、精巣内をうまく冷やすことができず精子を作る働きが弱まります。精液検査でこの状態の疑いが強い場合には、保険診療で超音波検査などを用いて詳しく調べることが可能です。
造精機能障害は、幼少期のおたふく風邪などの高熱により精巣に炎症が起きたことがある人、幼児期に睾丸の位置が正常よりも高かった人もなりやすいと言われます。またホルモンのバランスも関わってくるため、精液検査で乏精子症が疑われる方は血液検査で詳しく検査する必要があります。
WHOの基準では、運動している精子の割合が精子全体の42%以下の場合や、高速前進運動している精子が運動している精子全体の30%以下の場合、精子無力症と呼ばれます。動いていない精子や動いていても直進しない精子は、卵子まで到達できない可能性が高いです。また、運動性が低い精子では、受精する確率が低下します。精子の運動率についても、精液検査でお調べします。
精子の運動率の低下の要因はストレスや食事・睡眠といった生活習慣の乱れなど、様々な要素が重なっています。これらが体内に活性酸素を生じさせ、酸化ストレスとして細胞にダメージを与え、精子のDNAを損傷させます。通常の精液検査に加えて、精子DFI(DNA断片化指数)検査・ORP(酸化還元電位)測定を実施することにより、現在の状態を調べることができます。
精子無力症も、乏精子症と同じく精巣静脈瘤による造精能力の低下が原因となる場合があります。
無精子症
精液検査実施時に精液中に精子が見当たらない場合は、無精子症の可能性があります。これには大きく分けて、「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」があります。また、「逆行性射精」と呼ばれる精液そのものがほとんど出ない症状もあります。
閉塞性無精子症は、精子が精巣で作られているのに精子の通り道がふさがっていることで起こります。病気の後遺症や先天的な精管の障害などが原因とされます。
非閉塞性無精子症は、精巣で精子が作られていない状況です。先天的な染色体または遺伝子の異常、後天的にがんの放射線治療や抗がん剤投与などとの関連もありますが、はっきりとした原因がわからない場合も多くあります。
勃起不全
性行為における勃起が充分ではない、勃起しても持続しない状態を指し、主に血管の老化や神経系の問題などにより陰茎に流れ込む血流が不足している場合に起きます。また、日常のストレス、過去の性行為における失敗、心身の不調など、環境の要因や心理的な要因から勃起不全に陥ることもあります。
特に、妊活中の方やパートナーがタイミング法による不妊治療を受けているという方は、「特定の期間内に義務的に性行為をする」ということに対する精神的重圧や性的刺激の不足などにより、充分な勃起ができないことがあるようです。性行為の回数も自然と減ってしまい、受精の機会も得にくくなります。
診察予約
精液検査は当日、それ以外の検査は10~14日間ほどで検査結果が出揃います。
検査の結果は、受付での手渡しまたはEメールでの送信が可能です。健康診断と同様まずは結果を患者様にご覧頂き、詳しい診察や治療をご希望の場合にのみ診察の予約をしていただく流れとなっております。下記のページより必要に応じてご予約ください。専門医相談料は自費診療の場合3,000円ですが、検査結果によっては、精索静脈瘤や難しい状態の治療を保険診療で行う場合があります。
診察予約ページへ
男性不妊の検査について
精液検査
精液検査は、精子の濃度と運動率から、妊娠能力を判断する検査です。
現代人は、精子数が減少していると言われ、また不妊症の約半数は男性側に問題があることが指摘されています。
当院では精子を質と量の両面を基準とした総合評価である精子運動指数などを判断基準として検査します。
検査は予約不要で、ご来院当日に検査結果をお渡しすることも可能です。当日検査をご希望の場合、ご注意点をよくお読みください。
検査内容
- ・ 精液量
- ・ 精子濃度
- ・ 総精子数
- ・ 精子運動率
- ・ 前進運動率
- ・ 運動精子濃度
- ・ SMV(精子運動指数)
料金 / 初回 ¥10,000 / 2回目以降再検査:¥6,800
精子DFI(DNA断片化指数)検査・ORP(酸化還元電位)測定
上記の精液検査と同時に精子DFI(DNA断片化指数)検査・ORP(酸化還元電位)測定の検査を行います。
精子が酸化ストレスによりダメージを受けると、DNAが損傷して受精率や妊娠率が低下してしまいます。
この検査では、精子のDNAの損傷(断片化)の度合いや、精子がどの程度酸化ストレスの影響下にあるかをお調べします。
検査内容
- ・ 精液検査
- ・ 採取した精液を検査機関にて精査
- ・ 損傷したDNAを持つ精子の割合を染色により検査
- ・ 精子の酸化ストレス度と抗酸化力のバランスを調べる検査
料金 / ¥25,000
妊活ホルモン・ミネラル血液検査
不妊と関わりのあるホルモンの血液検査を実施します。
また、精子の質を左右するビタミンやミネラルなどの栄養素の不足を血液検査で評価します。
検査内容
- ・ プロラクチン
- ・ LH(黄体形成ホルモン)
- ・ FSH(卵胞刺激ホルモン)
- ・ テストステロン
- ・ ビタミンD
- ・ 銅
- ・ 亜鉛
- ・ カルニチン
- ・ 中性脂肪・コレステロール
料金 / ¥18,000
男性不妊精査セット
男性不妊に関わる検査(精液検査・精子DFI検査・精液ORP測定・ホルモン・ミネラル血液検査)をすべて実施します。
料金 / ¥38,000
超音波検査
精液検査などで、精子をつくる造精機能の異常や精索静脈瘤の疑いがある場合には、保険適用で超音波検査を実施する場合があります。
精巣の大きさや状態を観察したり、精索静脈瘤により精巣上部の静脈の流れに異常がないかを診断することが可能です。
精液検査の注意事項
- ・精液検査の受付時間は、
[平日] 10:00~18:00
[土曜] 10:00~16:00
[日曜] 13:30~16:00 です。
下記の検体提出の締め切りがあるためお早めのご来院をお勧めします。 - ・検体提出の受付時間は、
[平日] 10:00~18:30
[土曜] 10:00~16:30
[日曜] 13:30~16:30 です。 - ・精液検査希望日の約2日前から射精をしない「禁欲期間」を設けてください。ただし禁欲期間が長すぎると精子が劣化するという報告もあります。3日以内に留めてください。
- ・精液採取用の滅菌済み容器をご来院時に無料でお渡しします。患者様ご自身でご用意いただいた容器では、検査が不可能な場合がありますのでご注意ください。
- ・院内には、精液を採取するためのお部屋がございません。採取から2時間以内にお持ちいただくことが可能な場合はご自宅で採取していただけます。当院の近隣での採取についてもご案内が可能ですので別途お問い合わせください。
- ・一般精液検査は、採取時刻から45~50分程度で結果が出ます。採取から30分間程度検体が安定するまで待ち、その後15~20分ほどで検査結果が出ます。
- ・当日中に精液の検体をご提出いただくご都合がつかない場合は、問診後に先に容器をお渡しして、後日検査を実施することも可能ですので、お申しつけください。
- ・体調の影響により、結果が良くないこともあります。その場合は再検査をお勧めします。
※当院では、精液や血液の検査については、まず検査結果のご報告書をお渡しします。Eメールで検査結果をお送りすることも可能です。検査結果をご覧いただき、医師の診察を希望された場合にのみ、別途専門医相談料(3000円)がかかります。治療内容によっては、専門医相談料はいただかず、保険診療の費用のみとなる場合もあります。
男性不妊治療について
乏精子症・精子無力症の改善
精液中に運動している精子が一定量含まれる軽度の乏精子症や精子無力症の方の場合、まずは生活習慣・栄養状態の改善など基本的なところからはじめてみるのも一つの手です。栄養状態に関しては食事による摂取だけでは難しい場合もあり、サプリメントの処方や点滴により改善に繋げていきます。
また、血液検査の結果によってはホルモンバランスの乱れによる性腺機能の低下が判明した場合は、これを治療する医薬品を処方することもあります。
精子は精巣内で2~3ヶ月かけて作られますので定期的に精液検査を受けながら経過を観察し、改善があまり見られなければ人工授精など次のステップに進む必要も出てきます。より専門的な医療機関を紹介させていただきます。
精索静脈瘤の治療
精索静脈瘤があると精巣内の温度が下がりにくくなり、精子をつくる機能が低下します。このため軽度のものでは乏精子症や精子無力症と同様に精子をつくる機能を高める治療を行うことが第一ですが、重度の精索静脈瘤の場合、精巣からの静脈の流れを修復する手術など、根本治療を検討する必要が出てきます。当院では手術などを実施している医療機関をご紹介することが可能です。
無精子症への対処
精子の通り道が塞がっている「閉塞性無精子症」の場合は精巣内では精子がつくられている可能性が高いため、手術によりこの通り道を再建することが可能な場合は自然妊娠にも望みがあります。再建が難しい場合も、精巣を切開する比較的単純な手術で直接精子を回収できる可能性が高いです。
精巣で精子がつくられていない「非閉塞性無精子症」の場合でも、手術用顕微鏡を用いて精巣内から精子を探し出し回収できる場合があります。
逆行性射精などで精液がほとんど出ない症状では、症状を改善する医薬品の処方や、原因となっている医薬品の変更や服用休止によって対処できる場合があります。それが難しい場合も膀胱内へ逆流した精液から精子を回収できる可能性があります。
無精子症の疑いが強い場合には、手術や精子の回収を実施している医療機関をご紹介しております。
ED治療薬の処方
勃起不全を原因とする男性不妊では、排卵期の性行為を支援する目的でED治療薬を処方します。
2022年4月より、勃起不全を原因とする不妊症を治療する目的に限り保険適用での処方が可能となりました。不妊治療であることを明確にするため様々な条件が設定されており、条件を満たしている場合にのみ保険適用となります。条件を満たしていない場合でも、自費診療で処方することは可能です。