AGA治療を開始して約2~8週間の頃に、一時的に髪の毛が抜け落ちる初期脱毛の症状が起こります。
初期脱毛の期間には個人差がありますが、一般的には4週間ほど続きます。
AGA治療しているにも関わらず、抜け毛が増えることで不安に感じる人もいるでしょう。初期脱毛はAGA治療薬の効果が現れている証拠でもあります。ヘアサイクルが正常に戻って安定すると症状は落ち着くため、過度に心配する必要はありません。自己判断で治療薬の使用を中止すると、再び薄毛が進行するリスクが高まるため注意してください。
ここからは初期脱毛が起こる原因や仕組み、対処法について詳しく解説します。AGA治療を始めたものの、初期脱毛の症状に悩まされている人はぜひ参考にしてください。
初期脱毛とはどんな症状?初期脱毛が起こる原因と仕組みについて
初期脱毛とは、AGA治療を開始した初期の段階で一時的に抜け毛が増える症状です。
治療薬を服用し始めて1ヶ月ほど経った頃に、お風呂上がりや寝起き時に抜け毛が増えている場合は初期脱毛の可能性が高いです。
上記の症状は薄毛治療を受けたことのある人の多くが経験する現象で、決して珍しいことではありません。
AGA治療薬にはヘアサイクルの「成長期」「退行期」「休止期」を正常に戻す働きがあります。ヘアサイクルが乱れると成長期が短くなり、ハリやコシのある健康な髪の毛が育たなくなり、薄毛を招きます。
AGA治療すると乱れたヘアサイクルが元に戻り、休止期に留まっていた毛包が薬の作用で成長期に移るため、初期脱毛が起こります。寿命を迎える髪の毛が抜け落ちることで一時的に薄毛が悪化したように感じられますが、治療薬が効いている証拠でもあるため安心してください。
初期脱毛が起こる期間や抜ける毛量には個人差があります。目安としてはAGA治療開始から約2~8週間ほどで起こることが多く、その後4週間ほど続きます。正常に戻ったヘアサイクルが安定すると初期脱毛の症状はなくなります。
初期脱毛はAGAによる抜け毛の症状と似ているため、AGA治療薬が効いていないと感じて使用を中止する人もいます。
治療を止めると再びヘアサイクルが乱れ、休止期から成長期に移行していた髪の毛も成長期が短くなり、抜け毛が再発するため注意してください。
初期脱毛が起こる可能性があるAGA治療薬の種類
AGA治療薬にはさまざまな種類がありますが、初期脱毛が起こるのは以下の3種類の治療薬です。
【ミノキシジル】
3種類のAGA治療薬の中でもっとも初期脱毛が起こりやすいのがミノキシジル内服薬・外用薬です。
ミノキシジルはヘアサイクルを正常に戻す作用のある治療薬です。髪の毛には、「成長期・後退期・休止期」があり、抜けたり生えたりを繰り返します。AGAを発症すると髪の毛が太く長く育つ成長期が短くなり、髪の毛が育つ前に抜け落ちてしまいます。
ミノキシジルを使用することで乱れたヘアサイクルがリセットされ、AGAで弱った髪の毛を押し出すことによって初期脱毛が起こります。
参考サイト : ミノキシジルで初期脱毛が起きるのはどうして?薬の作用や期間を解説
【フィナステリド(プロペシア)】
フィナステリドはAGAの原因物質の5αリダクターゼという還元酵素を阻害し、薄毛の進行を抑制します。5αリダクターゼが阻害されると、抜け毛の原因の大元となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成が抑えられます。この作用によってヘアサイクルが正常に戻り、初期脱毛が起こることが考えられます。
ただし、フィナステリドにはミノキシジルのように毛母細胞を刺激する効果はありません。
初期脱毛は毛母細胞が活性化されることで生じるため、フィナステリドだけを用いたAGA治療で初期脱毛が起こる確率は低いといえるでしょう。
【デュタステリド(ザガーロ)】
デュタステリドもフィナステリドと同じく、還元酵素の5αリダクターゼを阻害し、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える作用があります。
デュタステリドも毛母細胞へ働きかける治療薬ではないため、初期脱毛が起こる可能性はミノキシジルより低いでしょう。
初期脱毛が起こる原因と仕組み
脱毛症にはAGA以外に円形脱毛症や脂漏性脱毛症など、さまざまな種類がありますが、初期脱毛が起こりやすいのがAGAです。
AGAは還元酵素の5αリダクターゼと、男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)が原因となる薄毛の症状です。ジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭細胞に作用して、ヘアサイクルが乱れることによってAGAが発症します。
髪の毛の成長期が短くなり、十分に成長する前に抜け落ちてしまうのです。
初期脱毛が生じるのは、AGA治療薬が十分に作用している証拠でもあります。薬の作用で抜け毛が増えるため、不安に感じる人もいるかもしれません。
初期脱毛はAGAによるヘアサイクルの乱れで休止期に留まっていた毛包が、薬の作用で一度に成長期へ移行するために起こる症状です。
新しく生えてくる髪の毛が、毛根の中で成長しながら古い髪の毛を押し出すことで一時的に抜け毛が増えますが、髪の毛の成長には必要不可欠な過程です。
初期脱毛で抜ける髪の毛は、いずれ抜け落ちる髪の毛です。AGA治療薬を使用することで通常より早く一度に抜けるため、一時的に毛量が少なくなります。
ただし、治療を継続することによってヘアサイクルが正常化され、太くて長い健やかな髪の毛が増え、薄毛が改善されていきます。
初期脱毛が起こっても、本来抜けるはずの髪の毛が抜けるだけなので安心してください。
初期脱毛で抜け毛が増えてしまった場合の対処法
AGA治療において初期脱毛が必要な過程だとわかっていても、抜け落ちる髪の毛を見て不安になる人も多いでしょう。治療を止めてしまいたくなる人もいるかもしれませんが、自己判断でAGA治療薬の使用を中止するのは避けるべきです。
日本皮膚科学会のガイドラインでも「男女ともにAGA治療の初期に初期脱毛がみられることがあり、これが治療薬の中止につながる恐れがあるため、患者への説明が必要である」との記載があります。
※日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」より
初期脱毛は一時的な症状です。AGA治療に必要な期間であることを理解し、適切にケアしながら治療を継続しましょう。
初期脱毛の症状が続いているときには、新しく生えてくる髪の毛を健やかに育てるためのケアに目を向けてみましょう。
バランスの悪い食生活や睡眠不足、過度なストレスは体への負担が大きくなり、髪の毛の成長にも悪影響を及ぼすリスクがあります。
生活習慣を整えて健康な体を維持することが、健やかな髪の成長にもつながります。長く続けてきた生活習慣をいきなり改善するのは難しいことかもしれません。少しずつでも変えていけるように心がけましょう。
頭皮への血流をスムーズにすることで、髪の毛の成長に欠かせない栄養素が頭皮へスムーズに運ばれます。頭皮の血流促進には頭皮マッサージがおすすめです。
頭皮マッサージすることで血流がよくなるほか、毛穴の汚れを除去したり、ストレスを軽減する作用も期待できます。
入浴時や就寝前のリラックスした時間に頭皮マッサージする習慣をつけましょう。
過度な飲酒はAGAの原因となる男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」を増やすリスクがあります。AGA治療中に過度に飲酒すると、ジヒドロテストステロン(DHT)が増え、初期脱毛を終えても薄毛が一向に改善されないというケースも。
また、体内でアルコールが分解される際に、髪の毛を生成するために必要な「アミノ酸」が消費されるなど、育毛に悪影響を及ぼすため注意してください。
更に、喫煙することによって血行不良になり、頭皮環境が悪化します。また、髪の毛の成長に必要なビタミンCを大量に消費するため、毛母細胞の老化につながるリスクもあります。
生活習慣の改善と同じく、飲酒や喫煙もいきなり止めるのはストレスになるため、少しずつでも改善してけるように努力してみましょう。
ここまで解説したとおり、初期脱毛はAGA治療薬が作用しているからこそ起こる症状です。十分に育つことができなかった髪の毛が抜けて、新しく健やかな髪の毛が生えてくるための準備期間です。
髪が抜けていくのを見るのはストレスになるかもしれませんが、治療薬が効いていることをイメージしながら過ごしましょう。
初期脱毛に対する不安が大きい場合や、3ヶ月以上続く場合は医師に相談してください。医師の診察を受けることで精神的にも楽になり、ストレスが軽減されるでしょう。
また、他の原因で脱毛している場合でも、クリニックを受診すれば適切な処置を受けることができます。
初期脱毛が終わらない原因
AGA治療薬による初期脱毛は長く続くものではありません。3ヶ月以上続く場合は別の原因で脱毛の症状が起きている可能性も考えられます。
ミノキシジル外用薬を使用すると、頭皮にダメージがかかり、かゆみや発疹など炎症が起こることも。
頭皮の状態は自分では確認しにくいため、中には炎症に気付かず治療を続ける人もいます。頭皮の炎症は毛母細胞にも悪影響を及ぼし、薄毛の進行につながるケースもあります。頭皮に違和感がある場合は、クリニックを受診しましょう。
AGA治療で改善されたヘアサイクルを維持するためには、バランスのよい食生活や十分な睡眠・休息が必要です。また、ストレスは抜け毛の原因にもなります。日頃からストレス発散の場を見つけ、溜め込まないようにしましょう。
AGA治療薬の効果を十分に得るためには、頭皮や毛髪の環境によい生活習慣を心がけることが大切です。
AGA以外にも抜け毛の原因があります。頭皮環境の悪化やストレスが原因となり、AGAと併発するケースもあります。
初期脱毛の症状が長引く場合は、AGA以外の脱毛症が原因となっている可能性もあります。薄毛の原因は自分では特定できないため、速やかに医師の診察を受けましょう。
初期脱毛とその他の抜け毛の見分け方
AGA治療を始めて抜け毛が増えた場合でも、初期脱毛ではない可能性もあります。AGA治療による初期脱毛と、その他の原因による脱毛の見分け方には以下の3つの方法があります。
頭皮に何かしらトラブルを抱えている場合には、頭皮の状態が原因で抜け毛が増えている可能性があります。
頭皮トラブルで代表的なのが大量のフケです。脂漏症とも呼ばれる症状で、菌によって頭皮や毛穴に炎症を引き起こします。フケを放置すると毛根が弱って、抜け毛が増える可能性があります。
また、頭皮にかゆみがある場合も注意が必要です。乾燥や炎症が原因によるかゆみも、抜け毛の原因になるため注意してください。
初期脱毛で抜ける髪の毛の量には個人差がありますが、平均すると1日200本前後です。
200本以上の髪の毛が抜ける場合は、初期脱毛以外の原因が潜んでいる可能性もあります。
初期脱毛で抜ける髪の毛の大半が、細くて短い産毛のような毛です。
長くしっかりした髪の毛が抜け落ちる場合には、以下のような原因が考えられます。
- ストレス
- 過度なダイエット
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能不全症
- 亜鉛欠乏症
- 自己免疫疾患
- 感染症による脱毛
健康な状態の髪の毛が抜け落ちる場合は、さまざまな疾患が原因となっている可能性もあります。不安な症状がある場合はクリニックを受診してください。
初期脱毛に関するよくあるQ&A
- 初期脱毛は育毛剤で治療できる?
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初期脱毛は育毛剤で治療することはできません。
初期脱毛はAGAが発症して乱れたヘアサイクルの中で、成長し切れなかった髪の毛が一時的に抜け落ちる症状です。治療開始から間もなく一度に抜け落ちてしまいますが、本来抜けるべき髪の毛です。
育毛剤を使用したところで、もともと抜ける予定だった髪の脱毛を防ぐことはできません。
そもそも育毛剤は、頭皮の環境を整えるためのもので抜け落ちた毛を生やす効果はありませんので悪質な広告に惑わされて勘違いしないようにしましょう。
- 初期脱毛を繰り返すことはある?
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初期脱毛は数回程度であれば、繰り返すこともあります。ただし頻繁に繰り返したり、3ヶ月以上経っても脱毛の症状が治まらない場合は、AGA以外のその他の脱毛症が潜んでいる可能性もあります。
気になる症状があれば、早めにクリニックを受診しましょう。
- 初期脱毛が起こらない人もいる?
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初期脱毛が起こらない人もいます。
治療を開始してすぐに抜け毛が増える人もいれば、全く脱毛しない人もいます。
初期脱毛の期間や抜ける毛量には個人差があります。初期脱毛が起こらなくても、治療効果を得られないわけではありません。
- 女性でも初期脱毛が起こる?
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初期脱毛は性別に関係なく、女性でも起こります。
女性の初期脱毛にも個人差がありますが、治療開始から10日ほどで始まり1ヶ月半程度で終わることが多いです。
- 初期脱毛はどれくらいの期間続く?
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初期脱毛はAGA治療開始から10日~1ヶ月程度続きます。
初期脱毛の期間には個人差がありますが、最大3ヶ月ほど症状が続くことがあります。それ以上続く場合は、別の原因が潜んでいる可能性があるため、クリニックを受診してください。
- ミノキシジル外用薬でも初期脱毛は起こる?
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ミノキシジル外用薬でも初期脱毛が起こる可能性があります。
初期脱毛が起こるAGA治療薬には、ミノキシジル・フィナステリド・デュタステリドがあります。その中でもミノキシジル内服薬・外用薬は、初期脱毛の症状が起こりやすいAGA治療薬です。
- 初期脱毛と普通の抜け毛の違いは?
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初期脱毛と普通の抜け毛の違いを見極めるポイントは、抜けた毛の状態や脱毛のタイミングです。
初期脱毛は、ヘアサイクルの乱れによって成長し切れなかった「短くて細い毛」が抜け落ちます。また、AGA治療を開始して1ヶ月以内に抜け毛が増えた場合は、初期脱毛である可能性が高いです。
- 初期脱毛が終わる兆候はある?
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初期脱毛が終わる兆候はありません。
初期脱毛が続く期間には個人差がありますが、一定期間症状が続き、いつの間にか気にならなくなることがほとんどです。
初期脱毛による抜け毛を気にすることも薄毛の大敵でもある「ストレス」につながります。初期脱毛は一時的な症状だと割り切って、過度に心配しないようにしましょう。
- 初期脱毛はどれくらいの量の毛が抜ける?
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初期脱毛で抜け落ちる毛量は一般的に200本以下で、それほど多くありません。初期脱毛で抜け毛が起こっても、少し髪の毛が薄くなる程度です。
200本以上の大量の毛が抜け落ちる場合は、別の原因が考えられるため、クリニックを受診してください。
- 初期脱毛は2回起こることはある?
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初期脱毛が2回起こることもあります。
2回目の初期脱毛は治療開始から6ヶ月~1年程度で起こることが多いです。1回目の初期脱毛と同じく、ヘアサイクルが正常化して、健康な髪の毛に生え変わるために起こる一時的な現象です。
初期脱毛の症状に不安がある場合は、気軽にクリニックを受診して医師に相談してください。