性感染症(性病)について
性病とは、様々な病原体が、主に性的な身体接触を介してヒトからヒトへ伝播する感染症の総称です。
正式には「性感染症」と言い、英語では「STD(Sexually Transmitted Diseases)」や、
「STI(Sexually Transmitted Infections)」などと呼ばれています。
症状の現れ方は原因の病原体によって様々で、個人差もあり、感染しても無症状のままの時もあります。
そのため、自身では感染していることに気付かずに、他人に感染させてしまっているケースや、
自覚症状が現れたときには病状が悪化していたりするケースがしばしば見られます。
こんなことで
お悩みではないですか?
- 排尿時の痛みや
違和感・不快感 - 尿道から
膿が出る・
下着が汚れる - パートナーが、
クラミジア/淋病/
梅毒
などの性病
と診断された - パートナーが、
マイコプラズマや
膣トリコモナス
と診断された - 陰部のできもの
(いぼ、性器ヘルペス、斑点など) - 口での性的接触から
数週間ノドの痛みが続く - 午前中検査を
受けて
夜までに即日結果を知りたい
(クラミジア/淋病/梅毒)
性病感染の
リスクとなる行為とは
性感染症は接触感染ですが、とりわけ粘膜同士の接触が最も感染リスクが高いと考えられています。
「性行為」というと、一般的には男女間の経腟性交を指すと思われるかもしれませんが、
実際にはキス・オーラルセックス・アナルセックスなど、
粘膜同士が接触する可能性の高い行為すべてに性感染症のリスクがあります。
また、粘膜同士の直接的な接触がなくても、感染リスクはゼロではありません。
愛撫などの皮膚同士の接触や性玩具・ローションなどのモノを介して感染することもあります。
- 性器同士の接触
- オーラルセックス
- キス
- 肛門性交
- 皮膚同士の接触
(愛撫など) - 他者が使用した
性玩具の使用 - ローションの使用
性感染症の種類、
潜伏期間と主な症状
主な性感染症の種類
クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスと言う細菌による感染症で、性感染症の中で、最も頻度の高い感染症です。
クラミジア感染症は、性器以外にも、咽頭や肛門(直腸)に感染する可能性があります。男性も女性も、しばしば無症状のことがあり、症状がない場合でも接触によりパートナーへの感染のリスクがあるため、注意が必要です。
潜伏期間は、1~3週間です。
発症すると男性の場合は、尿道のかゆみや違和感を感じることが多く、その他、尿道から分泌物が出たり、排尿時の痛みとして発症することがあります。症状が悪化すると、睾丸が腫れたり発熱を伴う精巣上体炎症となることもあり、男性不妊症の原因となる可能性があります。
女性の場合は、おりものの増加や不正出血などが認められます。
淋菌感染症
淋菌感染症は、「淋病」と呼ばれることもありますが、淋菌と言う細菌による感染症です。
淋菌感染症は、性器以外にも、咽頭や肛門(直腸)に感染することがあります。
潜伏期間は、2~7日程度です。
症状は、男性の性器の感染の場合は、強い排尿時痛や尿道から膿が出ることが多く、尿道炎を来たす性感染症の中では、比較的強い症状が出る傾向にあります。稀に、無症状で経過するケースもあるので、無症状だからといって淋菌感染症を否定できるわけではありません。
とりわけ咽頭感染の場合は、無症状のことがほとんどのため、注意が必要です。
女性の場合、性器・咽頭とも無症状で経過することも多いため、気付かれにくいこともありますが、症状がある場合は、おりものの増加や不正出血などが現れます。
マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症)
マイコプラズマには様々な種類があり、特に性感染症で問題になるのが、マイコプラズマ・ジェニタリウムと呼ばれるタイプです。
潜伏期間は、数日~5週間程度と言われています。
症状は、男性の性器の感染の場合は、排尿時の違和感や尿道のかゆみであったりします。性器クラミジア感染症とよく似た症状が出ますが、クラミジア感染症に比べて、抗生剤が効きにくい傾向にあります。そのため、治癒までに数か月を要することがあります。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマという菌による性感染症です。梅毒トレポネーマは粘膜や皮膚の小さな傷から体内に侵入し、血液やリンパの流れに乗って全身に拡がって様々な症状を引き起こします。近年、梅毒の感染者が増加しており、社会的にも問題視されています。
潜伏期間は、10~90日とされています。
梅毒には、下記のようなステージに分類されます。第1,2期は、早期梅毒と言われ、感染から1年未満の感染力の強い状態です。
- 第1期:性器や肛門、口などに硬いしこり(硬性下疳)や皮膚の潰瘍が出現。
- 第2期:手や足、体幹に発疹(バラ疹)が出現するが、一時的に消える
- 第3期:感染から数年が経ち、心臓や神経系などに病変が現れる
多くの人の場合、第1期と第2期のことが多いですが、典型的な症状でないこともしばしばあるため、見逃されることもあります。血液検査で診断が可能ですが、採血のタイミングによっては、梅毒の反応が出ないこともあることから、初見での診断が難しいことがあります。
性器ヘルペスウイルス感染症
性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルスによる性感染症です。粘膜間の接触により感染しますが、唾液でも感染します。無症状で進行することが多くあり、症状が見られる場合は、性器にただれや湿疹、小さい水ぶくれが見られます。
潜伏期間は、2~10日とされています。
一度感染すると、ウイルスは体内に残り続け、完治が難しい感染症です。そのため、疲れが溜まったり、体調を崩して免疫力が低下した時に再発することがあるため注意が必要です。
日頃の体調管理とともに、再発時には早めに抗ウイルス剤を投与することで、症状が早期に抑えられます。
性器カンジダ症
性器カンジダ症は、カンジダというカビによる皮膚の感染症です。性感染症に位置付けられていますが、実際にはカンジダは常在菌で、皮膚や口腔、消化管、膣などに存在しています。そのため、実際には性行為によって感染する場合もあれば、性行為とは関係なく、自身の免疫力が低下した時に増殖し発症する場合とがあります。
発症時は、男性の場合は、陰部に恥垢と呼ばれる白いカスが溜まったり、赤みやかゆみを生じることがあります。皮膚の炎症により表皮が傷付きやすくなるため、自慰行為や性行為による物理的な刺激によって、あかぎれのような状態になったり、皮膚が切れて出血しやすくなることもあります。
女性の場合は、悪臭を伴う白く濁ったおりものが出たり、膣や外陰部にかゆみが出ることがあります。
トリコモナス症
トリコモナス症は、トリコモナス原虫による性感染症です。女性の膣や子宮頚管にトリコモナス原虫が寄生することが多い感染症で、泡状の悪臭が強いおりものが発生し、陰部のかゆみが出現します。
男性では、無症状のことが多いですが、症状が見られる場合は、尿道や前立腺に炎症を来たし、排尿時痛を認めることがあります。
潜伏期間は、2週間前後とされています。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染症です。HPVには現在200タイプ以上の遺伝子型が知られており、子宮頸がんの発症リスクが高いハイリスク群とイボの発症リスクが高いローリスク群に分かれます。尖圭コンジローマの原因となるHPVは、後者のローリスク群です。
潜伏期間は、3週間~8か月と幅があります。
症状としては、痛みを伴わないカリフラワーのようなイボが出現することです。最初は、小さなイボのため、見過ごされてしまうこともありますが、徐々に大きくなったり数が増えてきます。
HIV・エイズ
HIV(Human Immunodeficiency Virus・ヒト免疫不全ウイルス)感染は、HIVというウイルスに感染した状態を指します。HIV感染に感染しても必ずしも症状が出るわけではなく、自覚症状がないまま数年をかけて徐々に免疫力が落ちていきます。
潜伏期間は、感染後1~6週間で抗体が作られ、その後数年をかけて発症するとされています。
通常では問題にならないような病原体に対しても抵抗できないほど免疫力が著しく落ちてしまうと、様々な病気を発症してしまい、その状態をエイズ(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome・後天性免疫不全症候群)と呼びます。
無症状の
性感染症のリスク
性感染症は、必ずしも症状が発現するとは限りません。
しかし、症状がないからと言って、安心できるわけではありません。
無症状の性感染症は、「感染のリスク」と「重症化のリスク」があります。
このようなリスクに注意!
人に感染・自分に再感染するリスク
症状がなければ感染に気が付かないまま放置してしまいがちですが、病原体が体内に存在する以上、他者に感染させてしまうリスクは症状がある場合と変わりありません。
パートナー間では、いわゆる「ピンポン感染」と呼ばれる状態となることがあります。お互いに感染し合って、何度も繰り返す状態のことです。自分またはパートナーのどちらか一方でも検査や治療を受けていなければ、もう一方が再び感染してしまうリスクは非常に高くなります。
重症化してしまうリスク
性感染症に感染したことに気づかず、治療しないまま放置していると、病原体が体の奥の方まで侵入し、後になって重症化して発症することがあります。
初回の治療内容
淋菌/クラミジア/梅毒については10:45~12:30までの受診で即日検査が可能です。即日検査はご来院当日に検査結果が判り、早ければ検査当日(※)に治療が開始できます。即日検査実施時は追加料金として3500円(税込・実費)がかかります。
(※時々、判断が難しい検査数値が検出されて同じ検体で複数回検査しなければならず、結果の判明が診療時間終了後まで遅れることがあります。この場合は翌営業日の治療開始となります。検査の正確性を担保するため、あらかじめご了承ください。)
性器ヘルペス・性器カンジダ症・いぼ(尖圭コンジローマ)は検査の有無に関わらず初回から治療(いぼの冷凍処置を含む)を開始可能です。
日数がかかる検査を受けた方にも、症状によっては応急処置としてお薬を処方する場合がありますが、検査結果次第でお薬の変更が必要となることがほとんどです。必ず検査結果を聞きにご来院ください。
性病検査について
性感染症は様々な病原体により引き起こされますが、病原体によってその検査方法は異なります。
そのため、現在の症状に応じてある程度対象を絞って検査する必要があります。
検査費用が保険適用となるのは、すでに症状があってそこから疑われる病原体だけを検査する時と、
パートナーに淋菌・クラミジア・梅毒・マイコプラズマジェニタリウム・トリコモナスなどの感染が判明した時に限ります。
淋菌・クラミジア・梅毒の
即日検査について
即日検査の受付時間内の受診で、当日に検査結果がわかります。
※日曜は除く。祝日は休診です。
追加料金
-
¥3,500
(別途各医療費)
即日検査の注意点
昼以降の即日検査実施は、翌日に結果が出ます。
即日検査は12:30までの受付ですが、午後の部が開始する13:30以降も、通常の所要日数よりも早く結果が出る「迅速検査」として受付可能です。その場合は翌日に検査結果が出て、治療を開始することが可能です。迅速検査は、日曜日も実施しています。
(※迅速検査も、淋菌・クラミジア・梅毒のみの対応です)
診療時間内に結果が出ない場合があります。
まれに、異常に高い検査数値や、偽陽性・偽陰性を否定しきれない数値が検出され、同じ検体で複数回検査を繰り返さなければならず、結果の判明が診療時間終了後まで遅れることがあります。このような検査で結果が陽性の場合は、治療開始も翌営業日となります。検査の正確性を保つため、何卒ご了承ください。
治療について
クラミジア感染症の治療
抗生物質(内服薬)の投与
1~2週間程度
注意点
- ・投薬の2週間後に、治癒確認の再検査が必要
- ・咽頭・尿・肛門部位ごとに感染の有無を確認する必要あり
- ・淋菌・マイコプラズマと同時に感染することが多い
淋菌感染症(淋病)の治療
抗生物質の静脈投与・筋肉投与。
抗生剤内服も考慮される
1~2週間程度
注意点
- ・投薬の2週間後に、治癒確認の再検査が必要
- ・咽頭・尿・肛門部位ごとに感染の有無を確認する必要あり
- ・クラミジア・マイコプラズマと同時に感染することが多い
マイコプラズマ感染症の治療
抗生物質(内服薬)の投与
2週間前後
注意点
- ・投薬の2週間後に、治癒確認の再検査が必要
- ・淋菌・クラミジアと同時に感染することが多い
梅毒の治療
ペニシリン系抗生剤の筋肉注射、
もしくは内服薬(飲み薬)の投与
第1期は4週間、第2期は8週間
※内服投与の場合
注意点
- 血液検査の数値の経過を見ながら、治療を継続するかどうか判断する必要がある。
性器ヘルペスの治療
抗ヘルペスウイルス内服薬、
外用薬投与
5~10日程度
(再発リスクが高い)
注意点
- ・神経にひそみ完治が困難
- ・年に何度も再発することも
尖圭コンジローマの治療
液化亜酸化窒素による凍結療法、
レーザーなどによる切除・焼灼術、
外用薬(塗り薬)の隔日投与
6ヶ月程度は観察が必要であり、
治療方法により経過が異なる
注意点
- ・見た目で治癒したように見えても、再発することが多い。
- ・6か月以上の観察期間を経て、治癒したかどうかを判断する必要がある。
HIV感染症の治療
エイズの発症を防ぐために複数の抗HIV薬を服薬し続ける必要がある。
第1期は4週間、第2期は8週間
※内服投与の場合
注意点
- 血液検査の数値の経過を見ながら、治療を継続するかどうか判断する必要がある。